2021年高校美術工芸教育研究会大賞受賞作品
コロナ禍において私たちは黙食を強いられるようになった。世の中から以前の団欒とした食事風景が消え、今の食卓はとても寂しいものになってしまった。
そこで私は、筆談のみでタコ焼きを作る「タコ焼き家族」という参加型アートを行った。参加者にはペンがわたされ、両隣の人としかコミュニケーションができないというルールが課されタコ焼き作りが始まる。タコ焼きを調理するための器具や食材は机の上にランダムに置かれており、席に座った参加者はまず誰が何を作るのかを筆談で決める必要があった。また、全ての会話が筆談で行われた。最初、参加者は机の上に貼られている紙のみにペンを走らせていたが次第に互いを仕切るビニールでの会話が始まり、筆談の領域が拡大していた。 さらに突然、似顔絵大会が始まる。互いの顔をビニール越しに机の上に描く経験はとても不思議だった。 そして食後、「最後だけは一斉にごちそうさまを言おう」という提案が妹からされた。父が中心に書いた1、2、3という数字に合わせ今まで静寂に包まれたリビングに4人の「ごちそうさまでした!!!」という声が鳴り響く。その後まるで言葉のダムが決壊したかのように参加者たちはイベントの感想を言い合った。
2021/06/19参加型アート(6/19開催),映像(3:00),(サランラップ,麻紐,緑竹,模造紙,ペン)