最高の食事を作りたい
「最高の食事」とはなんなのだろうか。それは、きっと食の記憶を辿りながら食べることだ。その食材はどこで誰が育てて、どのように収穫されたのかを実感しながら食事をする機会は現代社会においてはあまり少ない。
そこで、私は「食」に関するイベントを開催した。イベントの参加者は都会(鹿児島市)で暮らしている知人約20名を招待した。また、途中で村人たちも参加することになる。昼から始まったイベントは神社でのイベント説明から始まる。
イベントの様子
①参加者へのイベント説明(神社にて)
②③着火儀式、現地へ移動
④灯籠の鑑賞
会場内には13個の灯籠が設置してある。灯籠には、今回料理する食材「米、野菜、魚、水」の成長を1年間かけて取材した記録写真が展示されている。1番大きな灯籠を「家族灯籠」と呼び、参加者へ事前に配布した「炎の米」(会場である田で収穫された米をパッケージしたもの)をそれぞれの参加者が家庭で食べている写真を展示した。
⑤中心立体への着火
⑥料理の開始と炎の運搬
私の過去の作品で構成された中心の立体を燃やし、残った炭をそれぞれの料理台に運び料理を開始した。必ず炎は中心から運ぶようにした。それが人の循環を生み灯籠の鑑賞や他人とのコミュニケーションになると考えたからだ。なお料理で使用する箸や皿は全てこの土地でとれた孟宗竹を加工し利用している。また唐竹で椅子を作った。
⑦食事
料理が完成するとそれらを竹の皿によそぎ、竹の箸を使い食べた。会場内を歩くと、皆中心の炎を囲みながら美味しそうに料理を頬張っていた。イベント終了後「自分が食べている物の物語や、家族での食事を炎を見ながら思い出し食事をすることができた」と参加者の1人が話してくれた。 常に中心の炎を燃やし続けていたのには、もう一つ意味がある。「炎」を見るという行為は「緊張をほぐし、過去を振り返らせる」という効果があるからだ。このイベントで参加者の「食」に対する価値観が少しでも変化してくれたら幸いだ。
⑧食の記憶灯籠
食事が終わると、イベントはいよいよ終わりに近づき会場内の灯籠に灯りが灯される。
灯のともった灯籠を見て参加者は何を感じているのだろうか。
初めて開催したアートイベント。約2ヶ月間ほどかけて企画、会場設営をしてきた。その間多くの人に助けてもらい私自身学ぶことが多くあった。
2021/12/12,(参加型アート,インスタレーション(緑竹、孟宗竹,唐竹,麻紐,写真,食材,調理器具,水)