私の祖父母の家の近くには大きな樹が生えている。その樹は「森殿」と言われ、昔から集落の人達に慣れ親しまれてきた。私も幼い頃から木に登ったりブランコをしたり遊んでいた。その森殿を主役にインスタレーション作品を制作した。この作品は3つの顔を持っている。昼は家族が集まり、森殿についての記憶を思い出す場所。そのために、子供の時の木登りの記憶を思い出す為の木の上にのぼる梯子や昔使っていたブランコを設置した。夜は昼の森殿とは打って変わり、竹をろうそくでライトアップし、森殿の神聖さを表現する場所にした。最後に、雨の日になると降った雨が木の上に設置してある竹の雨樋を通りあらゆる方向に落ちる。それは自分の周りだったり、森殿を祀っている祠や、近くに植えてある桜の木(孫が生まれた時に祖父が植えた桜の木)だったりする。まさに森殿に注ぐ雨を通じてあらゆるモノとの関係性を感じる作品になった。
2021/07/03,インスタレーション(緑竹,麻紐,ろうそく)